拒食症の入院期間は?摂取カロリーも解説!
無理なダイエットなどから食事が摂れなくなる拒食症。心の問題も絡む非常にデリケートな病気であり、その治療法には入院という選択肢があります。
しかし、拒食症で入院と聞いても、いまいちピンときませんよね?
入院すれば必ず治るのか、薬漬けにされるのではないかなど、なんだかよく分からないゆえの不安があると思います。
そこで気になるのが、入院が必要となってきた場合に、入院期間や、入院する上での明確な基準は設けられているのでしょうか。
どのような病気でも入院が必要、と言われると構えてしまいますよね?
若い女性に多いといわれる病気なので、学生が拒食症になった場合に気にかかるのは出席日数ですから、入院する期間の長さも心配なポイントです。
そして、拒食症患者になってしまうと、健常者に比べると異常な程の摂取カロリーの実態があるのです。
それに対処するための食事内容は、どうするべきなのでしょうか。
今回は、拒食症患者の入院期間、摂取カロリーや食事内容、入院基準がどうなるのかまで網羅的に併せてご紹介します。
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拒食症に必要な入院期間
拒食症の入院期間についてです。これは通常1,2ヶ月程度とされていますが、治療の経過は個人差が非常に大きいので、あくまでもこの数字は目安と考えましょう。
入院した時点は、体を回復させるために対症療法が行われます。症状によっては動けず寝たきり状態の場合があります。栄養を摂取させる栄養療法から始まるのです。
改善が見られたら、次は心理的な治療に入ります。
患者のストレスの要因を探して改善策を模索します。その次はトレーニングに入ります。三食きちんと、少量でも食事を摂るトレーニングを行います。そして、徐々に食事の量を増やしながら適正体重に戻していきます。
ここに至るまでの期間が必要ですから、短期入院で治療が完了するとは言えないのです。
なにより、拒食症は身体的要因のみならず、心の問題が絡んで発症します。ですから、全ての人の快方に向かうペースは同じではないのです。
さらに、人によっては退院後、自分で自分の食事を管理することに自信が持てないばかりか、自己管理することに対する恐怖心を抱き、入院期間の延長を願い出る場合があります。
退院したら、また前の生活に逆戻りしてしまうと考える人も少なくありません。入院中は身体的にも心理的にも治療のプロが寄り添っていましたので、このような心配をすることは当たり前の心理なのです。
また、入院によって拒食症が必ず完治するわけではありません。退院後の自己管理に怯える人がいるように、自分の中でいかに食への意識、習慣を改善していけるかが、拒食症治療の鍵を握っていると言えるでしょう。
拒食症を抱える患者は、食べることへの罪悪感や、太ることへの異常な恐怖心があります。人間の体に必要な摂取カロリーを正しく知ると同時に、自分に不足しているカロリーを知ることができれば、このような罪悪感が和らぐ可能性があります。
では、人間が必要とし、健康な体を保つのにはどれくらいのカロリーが必要なのかを次の章でご説明いたします。
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拒食症の摂取カロリー
まず最初に、拒食症患者が普段摂取しているカロリーについて見ていきましょう。驚くべきことに、大半の拒食症患者の1日の摂取カロリーは、健常者が摂取するカロリー平均の半分程度なのです。
日本人女性の一日の平均摂取カロリーは、約1500kcalです。同じ1500 kcalを摂取するにも、栄養バランスを考えた食事をしなければなりません。
これと比較した場合、拒食症患者の平均摂取カロリーは500~800kcalであり、これは健常者の半分を下回っているという計算になります。重篤なケースでは、1日に500kcalに満たない食事をしていた患者もいます。
このような場合、栄養バランスを考えられた食事をしていることはほとんどありません。
少ない種類で、低カロリーな食品を長期的に摂っていることがほとんどです。
このような患者は、過度に食事の量やカロリーを気にしていることが多いです。1g、1kcalすらこだわる姿は、もはや病気と言える姿でしょう。そのような方は、自分で自分の状況を客観的に判断するのはできないものです。
肥満への異常なほどの恐怖心は、痩せすぎている自分を「まだ太っている」と錯覚させてしまうのです。家族や友人などの周りの方の観察と助言がなによりも必要ですので、患者さんをよく見ていてあげてくださいね。
拒食症を克服するには、まずは適正体重に近づくことが当面の目標になります。入院するには「正しい食生活を取り戻す」トレーニングが重要な意味を持ちます。
次の章で、入院中の食事についてより深く踏み込んでご説明します。
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入院時の食事はどうなる?
まずは、本人が食べやすいものをカロリーにこだわらず、少量でもきちんと三食摂るところから始まります。少量ですから当然栄養的には十分とは言えませんので、薬や栄養補助食品で栄養を補います。
段階的に食事の量を増やしていきますが、その際に芽生える「太る」という恐怖心を専門のスタッフがサポートします。
即入院で、どのような形状のものも受け付けない重篤な状態の場合は、鼻腔栄養といった「鼻にチューブを通して、液状の栄養食を胃に流し込む」治療が行われます。胃に食べ物が入ることに対して、吐き戻し行為を行わないようスタッフの監視がつきます。
拒食症の入院基準
それでは、拒食症患者に入院が必要と判断される基準について見ていきましょう。一般的に身体的、あるいは精神的に非常に危険な時のみ即入院がなされ、ある程度症状が重い場合に入院が勧められます。また時折、本人が希望して入院するケースもあります。
では詳しく解説していきましょう。なお、途中「標準体重」という語が出てきますが、計算は 標準体重[kg]=身長[m] ×身長[m]×22[BMI(体格指数)標準値]で算出できます。
身長160㎝の人であれば、56.32㎏が標準体重になります。患者の体重が、この標準体重の55%を切った(160㎝の人が30.9kgになった)とき、即入院となります。
体重が標準体重の55%未満にいたった時に加え、水分摂取不足による脱水症状は、やがて重篤な腎不全を引き起こします。
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その他即入院が必要な場合
その他即入院が必要となってくる状況としては、
- 低カリウム血症
- 心臓異常などの合併症
- 判断力の著しい低下
- 歩行の困難な状態
などが挙げられます。
そして、上の基準を満たさなくても、標準体重の55~65%で一般的な日常生活にも支障がある時や、短期間に急激な体重減少があるような身体状況では、入院が勧められます。
加えて、治療をする環境として、普段の生活環境が適さない時や、外来での治療を続けてきたものの改善がみられない場合には、環境改善のために入院が選択肢に入ります。
このように、拒食症による入院について、基準には少し曖昧さがあります。結局は、一人一人の患者に応じて、必要とされる時に入院はなされるのです。上に書いた基準に当てはまらなくても、入院した方がよいのではないかという思いがあるならば、医師に相談してみてもいいでしょう。
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まとめ
拒食症の入院では、本人の自己判断のみならず、家族からの依頼でも入院させてもらえることがあります。メンタルケアと栄養補給が急がれますので、異常な行動や体調不良、急激な体重減少(1ヶ月で5㎏の減少など)が続いている場合は、早めに医療機関を頼ることが肝心です。
拒食症の原因には、ストレスがあります。本人を取り巻くストレスの原因を取り除く必要と、そのストレスに立ち向かい「拒食症を治そう」という本人の強さが必要になります。
ときには、家族の存在そのものがストレスである場合がありますが、日常生活ではそれをお互いに自覚できていることが少ないのも、拒食症の特徴のひとつです。
若い女性に多い拒食症ですので、学校にストレスの原因がある場合もあります。自分と友達との比較や、失恋、成績などがストレスになっていることがあります。
本人が気づいていないストレス、その原因を正しく理解しなければ、延々と間違った対応を繰り返しかねません。
第3者の目で客観的に解明でき、正しい治療が行えるのは医療機関のみです。入院期間が長くなればなるほど、社会的復帰が遅れますが、良い人生を送るために必要な時間として「割り切ってしまう」そんな勇気をお持ちください。
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